今回は子供のいない夫婦の遺言をテーマにお話しします。
子供のいない夫婦の場合、配偶者以外に親兄弟も相続人となり配偶者に全財産を相続させることが出来ないケースがあります。
大切なパートナーのために事前の準備を心がけるようにしましょう。
事前対策をしていなかったらどうなる?
法定相続分を把握しておこう
法定相続分とは、民法で定められた相続割合のことです。相続人の順位によって法定相続分は異なります。
例えば、下図のような子どものいない太郎さん・花子さん夫婦の相続関係の場合、花子さん4分の1・次郎さんと三郎さんは各8分の1ずつの法定相続分となります。
前述のように、事前対策をしていない場合は配偶者の花子さん以外にも相続権が発生します。
もちろん、相続発生後に遺産分割協議にて他の相続人が配偶者に全財産を相続させることに同意してくれれば問題はありませんが、その保証はありません。
住み慣れた自宅を失う恐れも…
相続財産が自宅と少額の預貯金しかない場合、最悪のケースでは他の相続人に法定相続分を渡すために自宅を売却することになってしまいます。
上記のようなリスクがあるため、花子さんの今後の生活のためにすべての財産を相続させたいという要望があるなら、遺言書を作成しておくなどの事前の対策が重要となります。
遺言書を作っておくことで実現できること
では、事前に遺言書を作成した場合はどうのようなメリットがあるのでしょうか?
メリット①配偶者が全財産を相続することができる
『配偶者にすべての財産を相続させる』遺言書を作成しておけば配偶者に全財産を相続させることが出来ます。
ただし、相続人に両親が含まれる場合は両親に遺留分(両親の遺留分は6分の1)が認められるため遺留分を請求された際の対策を考えておく必要があります。なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。
メリット②相続手続きを簡略化できる
遺言書があると遺産分割協議をする必要が無く、配偶者一人で相続手続きを進めることが可能になります。
大切な人を亡くした配偶者が、さまざまな手続きで大変な思いをしているときに助けてあげることができます。
遺言書は、最愛の人へ送る最後のプレゼントです。
夫婦で遺言を書き合う『たすき掛け遺言』
前述した太郎さん・花子さん夫婦のケースでは、太郎さんの相続についてお話ししましたが、花子さんの相続についても同じことが言えます。
このため、子どものいない夫婦では夫から妻、妻から夫の遺言書をそれぞれ作成しておくと良いでしょう。
遺言書の作成は公正証書遺言がお勧め!
さて、ここまでのお話で子供のいない夫婦の場合の遺言書の重要性をご理解いただけたかと思います。
遺言書の作成は、後々のトラブルを防ぐために公正証書遺言で作成することをお勧めいたします。
自筆証書遺言で作成する場合は、少なくとも法務局で保管申請するようにして下さい。
自筆証書遺言を自宅で保管することは無効リスク・紛失リスクなど様々なリスクが高く、当事務所ではお勧めしておりません。
遺言書の種類については以下の記事で詳しく説明しています。
以上、皆様の参考になればうれしいです(^^)