相続が発生したときに生命保険の保険証書が見当たらず、
「亡くなった方が生命保険に加入しているか分からない」
「保険に入っていると聞いていたけど、どこの保険会社かわからない」
という困った事態に直面することがあります。
このような場合、生命保険協会が提供している「生命保険契約照会制度」を利用すれば、保険協会に加入している生命保険会社に対して一括で問い合わせを行うことが出来ます。
本制度を利用することで相続による生命保険契約の検索を効率的に行うことが可能になります。
この記事では、生命保険契約照会制度の具体的な利用方法とそのメリットについて解説します。
生命保険契約照会制度とそのメリット
「生命保険契約照会制度」とは、一般社団法人生命保険協会が提供するサービスで、相続人が亡くなった人の生命保険契約の有無を照会することが出来る制度です。
生命保険契約照会制度を利用することで以下のメリットがあります。
- 保険契約の締結を一括で確認でき、各保険会社に個別に問い合わせる手間が省ける。
- 早期に保険加入の有無を確認することで、相続税の計算や遺産分割協議をスムーズに進めることができる。
さらに、この制度を活用することで、相続人全員が情報を共有できるため、家族の間の不信感を減らし、円満な相続手続きを進めることができます。
生命保険契約照会制度の具体的な利用方法と手順
「生命保険契約照会制度」を利用するための手続きは、主に以下のステップで行います。
必要書類の準備
生命保険協会のウェブサイトを参考に、被相続人の死亡診断書や戸籍謄本、相続人の本人確認書類(免許証、マイカード番号など)を準備します。
【参考:生命保険協会-必要書類(法定相続人からの照会の場合)】
必要書類の具体例
・照会者本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、住民票など)
・相続関係を証明する書類(戸籍等)
※相続関係により取得すべき戸籍が異なります。詳細は生命保険協会のウェブサイトをご参照ください。
照会依頼書提出
生命保険協会のウェブサイトから「照会依頼書」をダウンロードし、必要事項を記入して必要書類と共に申請します。
申請は1件につき3,000円の照会手数料がかかります。 申請方法は以下の2つです。
- Webフォームから申請(ユーザー登録が必要)
- Webフォームで申請書を取り寄せ、書面にて郵送申請。
なお添付書類についてはwebフォームからの申請の場合はスキャンデータを添付し、郵送申請の場合は原本ではなくコピーを添付します。
結果の通知
通常、照会から約3週間程度で、保険契約の対象者についての回答が届きます。
保険契約の有無について、各保険会社からの回答が記載されています。保険契約”有”と回答した保険会社に対して保険内容の確認、保険金の請求をしていくことになります。
専門家への依頼
生命保険契約照会手続きはWebフォームからの申請がスムーズですが、事前のユーザー登録が必要となります。
専門家に依頼すればご自身でのユーザー登録は不要となり、必要書類の収集も依頼することが可能です。
手続きが分からない方、時間を取れない方は専門家に依頼することも選択肢の一つになります。
なお、生命保険契約照会手続きを代理できるのは行政書士、司法書士、弁護士に限られています。
生命保険契約照会制度の注意点
この制度の利用には、次のような注意点があります。
- 照会対象となるのは、照会日現在に有効に継続している個人保険契約です。死亡保険支払済、解約済、失効済のものは含まれません。
- 財形保険・財形年金保険、支払いが開始した年金保険、保険金等が据置きとなっている保険は照会対象外です。
- 保険協会に加入していない共済契約(JAやコープ、県民共済など)や損害保険契約は照会対象外です。
- 照会1件につき3,000円の手数料がかかります。調査の結果、契約が存在しなかった場合や照会内容に誤りがあった場合であっても、返金を受けることはできません。
まとめ
「生命保険契約照会制度」を利用することで、保険契約の有無をまとめて確認でき、相続手続きをスムーズに進めることができます。
今回ご紹介した「生命保険契約照会制度」はあくまで保険契約先が分からない場合の対処法となります。
事前にしっかりと準備をしておけば「生命保険契約照会制度」を利用する必要は無くなります。
相続対策の一環として、保険証券などの契約内容が分かる書類をしっかりと管理し、ご自身の保険情報をご家族に伝えておくようにしましょう。